空気がいつになく停滞しているように思え、キョウコは眉間に皺を寄せた。
ニロは一見朗らかな顔をしながらも時折思い詰めたような顔をしているし、大将であるシガはシガでどこか浮かぬ顔だ。
換気したくとも、この空間には窓一つない。
(んもう……息が詰まるわ!)
こんなことなら今日は戻ってくるんじゃなかったわ、とソファにダイブする。
克也は寝てしまっているようだから、今日はもう外には出れないのだけれど。
「シガ!」
シガは顔を上げる。
「悩み事があるなら言いなさい!大将が悩んでちゃ話にならないわ!」
本当は少しでも息詰まり要素を減らしたいがための提案である。
するとシガは「夢幻派が……」と言いかけたのだが、すぐに口を閉じた。
キョウコを相手にする顔から、考え事をする顔になっている。
彼女は苛ついた。
シガは無表情の下で、策略から憂いまで様々なことを考えている。
彼女には、そのすべてを見極めることは出来ない。
出来たとしても結局それは口には出されないのだから、余計に苛つくだけだった。
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